「相続」は行政書士が副業でできるほど甘くない

実務

土日で副業行政書士をやるのであれば、相続を押さえておきたいところですが、「相続=争続」となることもあり、甘くはありません。

ただやはり、土日時相談できる行政書士は貴重ですので、基本的な相続の流れと行政書士が作成できる書類については、しっかりと押さえておきましょう!

相続とは

相続とは、亡くなった人が所有していた財産を受け継ぐことです。

受け継ぐことができるのは、配偶者や子どもなどです。相続の説明を見ていると、相続人の中に愛人の子どもがいたり、父が遺言で誰かに財産を寄付すると書いていたりするケースが説明されていますが、現実ではほとんどありません。今回は、ごく一般的な相続について説明したいと思います。

夫と妻と子ども2人、貯金500万円、土地1000万円、家1000万円、車100万円、借金な0、が夫の財産で、夫が亡くなった場合です。

相続税が、かかるかどうかを確認する

相続財産が一定の金額以下なら非課税 = 相続税0円

相続税についてですが、相続する財産の額が大きい場合は相続税がかかります。逆に少ない場合、「相続財産が一定の金額以下なら非課税=相続税0円」となります。 これを「基礎控除」といいます。相続財産が基礎控除内であれば相続税は0円、つまり、相続税の申告はしなくてもよいということです。

相続税の基礎控除

基礎控除 3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )

相続税の基礎控除は、3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )で、相続財産がこの金額以下なら相続税は0円です。

今回のケース、基礎控除額は、3000万円+(600万円×3)ですので4800万円となります。相続財産が4800万円以内なら相続税0円ということです。相続財産を見ると、貯金500万円、土地1000万円、家1000万円、車100万円ですから、相続財産は全部で2600万円で、4800万円には届かないため、相続税は0円で、税務署への申告不要です。

ちなみに、死んだ人が、相続税がかかるほど財産を持っている割合は約8%だそうです。

(公益財団法人生命保険センターよりhttps://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/succession/8.html

相続人を確定する → 相続関係説明図を作る

父が亡くなった場合、相続人を確定します。

今回のケースでは、妻と子ども2人が相続人となります。ここでは相続関係説明図という家系図のようなものを作りましょう。

法務局のホームページに、↓のような記載例があります。

相続関係説明図を作成する、これを事実証明書類の作成といい、行政書士法の定める業種の独占業務になりますので、必要であれば行政書士に依頼しましょう。戸籍謄本と住民票があれば自分で作ることもできます。

相続財産を確定する → 相続財産目録を作成する

相続人が確定したら、次は相続財産を確定します。相続財産は何か、ということを記載した相続財産目録を作成しましょう。これは、各都道府県の家庭裁判所のホームページに記載例が載っています。よろしければ参照ください。

この書類の作成も事実証明書の作成ということで、行政書士に依頼です。

自分で作成する場合、不動産の書き方が難しいかもしれません。不動産について記載するには、登記簿謄本を確認する必要があります。登記簿謄本は各都道府県の地方法務局で取ることができます。法務局に行くと必ず住宅地図が置いてありますので、土地と建物の場所を地図で開いて、係の人に「個々の土地建物の登記簿謄本が欲しい」と伝えればもらえます。本人確認があるので免許証を持って行ってください。480円の印紙がかかりますが、法務局で買えます。

相続財産、土地の価格はいくらにするのか

土地の価格をいくらにするか、ということですが、これは路線価というものを使って価格を出します。路線価は、国税庁のホームページで確認できます。

相続財産、家の価格はいくらにするのか

家の価格は、固定資産税評価額となります。固定資産税評価額は、固定資産税課税証明書で確認できます。固定資産税の請求書と一緒に同封されています。役場などで取ることもできます。

相続財産、車の価格はいくらにするのか

車は、家や土地のように金額を算出する方法はありません。同じ車種の中古車の販売価格やオークションサイトでの落札価格を参考にすることができます。その場合は年式やスペック、走行距離が近いものを選ぶようにしましょう。

相続人全員で話し合い → 遺産分割協議

法定相続分 配偶者(妻)→1/2 直系卑属(子)→1/2

相続人は、法律で相続財産の取り分が決められています。これを法定相続分といいます。

今回のケースでは、妻(配偶者)…1/2、子どもたち(直系卑属)…1/2が法定相続分となります。子ども2人なので、子ども一人当たり1/4です。

しかし実際には、全相続財産を妻が相続することが多いのではないでしょうか。

妻1人に全ての遺産を相続させたいというのであれば、相続人全員で遺産分割協議を行います。一般的には、四十九日法要の集まりの際に、遺産分割協議する方が多いと思います。

遺産分割協議というと、相続人全員が集まって話し合って署名押印をするようなイメージがありますが、必ずしも全員が集まる必要はありません。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成します。

今回のケースでは、「妻が全ての遺産を相続する」という内容の遺産分割協議書を作成し、相続人の全員が署名押印(実印)の上、印鑑証明書を添付します。

県外に住んでいてすぐに会えない場合などは、書類を郵送して、名前を書いて実印を押してもらうのでも良いです。

遺産分割協議書は、権利義務書類の作成といって、行政書士の仕事となります。法務局のホームページに記載例があります。たいへんですが、自分で作成することもできます。

なぜ、書類を作成しなければならないのか

遺産分割協議後、いろいろな手続きがありまして、その際に上で説明した書類を提出する必要が出てきます。ですから書類は、間違いないよう作成しておきましょう。

その後の手続き

その後の手続きとして、預貯金は解約・払い戻し手続き、車は所有者変更と保険の変更、土地建物は相続登記による名義変更があります。尚、土地建物の相続登記に関しては司法書士の独占業務になります。

書類作成を行政書士にお願いしている場合は、行政書士と司法書士が連携して業務を進めてくれます。相続について、行政書士や司法書士に依頼した場合だと20-30万円くらいの費用がかかると思います。

一連の手続き、自分でできなくもないですが、平日に役所や法務局に行ったり、慣れない日本語で書類を作成したり、ハンコ一つもらうだけのために相続人同士でスケジュール調整したりしないといけないので、現実的には、かなりたいへんです。また、遺産分割協議で揉めた場合は、これはこれでたいへんなので、やはり専門家に依頼したほうがよいでしょう。

行政書士に依頼した場合は、相続登記については、司法書士に依頼することになりますし、、司法書士に依頼した場合は、相続登記以外の書類作成を行政書士に依頼したりする場合がありますので、どちら依頼しても同じです。相続財産が少ない場合は、行政書士に依頼したほうが安く上がると思います。逆に、相続財産が多くて相続税が発生するようなケースは、税理士に依頼しましょう揉めそうな場合や揉めた場合は、司法書士か弁護士に依頼です。

まずは、相続の基本的なケースを覚えておき、基本から外れるような場合は、迷わず専門家に依頼しましょう。

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