「隣地との境界杭がなくて、
境界線がどうもはっきりしません。」
こんにちは。
福井県福井市の行政書士、
太田哲郎です。
相続で土地を取得した際、
隣地境界がはっきりしない
場合があります。
境界杭が取れてしまった場合や、
山林などで境界ポイントがない場合
などです。
これまではお隣さんも自分たちも
土地の境界など気にしなかったかも
しれませんが、
境界がはっきりしないと
土地を売ろうにも売ることが
できません。
このような場合は境界を確定し、
境界ポイントを入れる必要が
あります。
①資料を集める
土地の境界ポイントが無いなど、
境界が不明な場合には、
まず資料を集めましょう。
■土地の登記簿謄本
■公図
■地積測量図
■土地の売買契約書(あれば)
■土地の権利証
土地の登記簿謄本や公図は
法務局で取得することができます。
地積測量図はあればいいのですが、
境界が分からない土地の場合は
無いことがほとんどです。
土地の登記簿謄本には
土地の地番や面積、
いつどのように移り変わってきたのかなど
所有者の情報が書かれています。
公図では土地のおおよその形や
地番を確認することができます。
土地の登記簿謄本の面積と
実際の面積が異なっている
場合がありますし、
公図のラインが必ずしも
境界ラインであるとは限りません。
書類がこうなっているから
ここが境界だ!と主張するのではなく、
隣り合う土地の所有者同士が
現地で立ち会って
境界を確認する必要があります。
②双方で現場立会
境界を確認する場合、
隣り合うそれぞれの土地の所有者が
現場で立会を行うようにしましょう。
地積測量図などがあれば、
スケールなどで双方が位置を確認し、
そこに境界ポイントを打てば
OKです。
ただ、測量図がない、あるいは
測量図の寸法と現地が全然違っていて
境界線があいまいという場合もあります。
ただ、いくら境界が分からないといっても
何の目安や目印もない、なんてことは
ほとんどないかと思います。
ブロックや土留め擁壁があれば
分かりやすいですし、
垣根や目印となる石、
水路などが暗黙の境界として
機能している場合もあります。
その他にも、付近の大木や
目印となる岩、お地蔵さんの位置、
これまで草むしりをしてきたところ、
などがあげられます。
隣り合う土地の所有者同士が
現地で立会をして、境界の認識が
どの程度食い違っているのかを
確認する必要があります。
③境界ポイントを入れる
隣り合う土地の所有者同士が
双方納得して境界を確認し、
境界ポイントを入れれば
問題は解決します。
お互いが納得しているのであれば
土地家屋調査士や測量士に
頼む必要はありません。
境界プレート、境界杭の入れ方
境界ポイントは、境界プレートや
境界杭などが一般的です。
境界プレートや境界杭は、
双方が境界の位置に
納得しているのであれば、
わざわざ業者に頼まなくても
自分で入れることができます。
境界標はいろいろなものがあります。
境界プレート
ブロックや土留め擁壁など、
コンクリートに設置する場合は
このようなステンレスプレートが
良いと思います。
穴が2つ開いているものの方が
ずれにくいです。
コンクリートビス、もしくは
コンクリート用の釘で留めます。
4センチほどの長さのもので
大丈夫だと思いますので
金槌やインパクトドライバーで
上手に打ち込んでください。
境界杭
地面が土の場合は境界杭を
打ち込みましょう。
地面の柔らかさによりますが、
それなりに長めのものが良いです。
杭は、くい打ち用のハンマー(かけや)で
打ち込みます。
④覚書を交わす
地積測量図がない場合で、
お互いの話し合いにより
境界を確定したのであれば
覚書を取り交わしておきましょう。
土地の図面、
境界ポイントや境界線の写真など
双方が納得したことが分かるように
書面に残しておきます。
以下、売買契約の際に取り交わす
覚書の例をご紹介します。
簡単な場合は、ご自身で書類を
作ればOKですが、
各方位ごとに隣地所有者が異なり、
何通も覚書を準備しなければ
ならない場合や、
隣地所有者が共有の場合は
書類が複雑になりますので
行政書士等に依頼するのが
良いです。
⑤境界を確定させる
双方納得して境界ポイントを
入れることができたら、
土地家屋調査士に依頼して
土地の測量を行い、
登記簿上の地積の更生を
しておくとよいでしょう。
万が一境界ポイントが取れてしまって
紛失した場合でも、
再度、土地家屋調査士や測量士によって
正確な位置に境界を入れることができます。
⑥境界で、もめそうな場合…
境界でもめそうな場合、
筆界特定制度がを利用することが
できます。
これは、土地の境界の特定を求める
当事者の申請に基づき、
筆界特定登記官という人が
境界の位置を特定する制度です。
土地家屋調査士に依頼するのが
良いと思います。
費用は50万円~です。
⑦境界で、もめた場合
土地の境界でもめた場合、
最終的には境界確定の訴えを
起こすことになります。
隣地所有者を被告として
境界確定の訴えを起こせば
裁判所は境界線を確定してくれます。
境界が分からないからと言って
裁判所は訴えを退けることはせず、
いずれかの地点を示して
境界を確定してくれます。
ただし、必ずしも訴えた人に
有利な決定がなされるわけでは
ありませんので、
その点は留意してください。
◆
土地はもともと連続しているため、
土地の境界問題はいつでもどこでも
起こりえます。
もし話がこじれそうな場合は
お早めに専門家にご依頼を!
この記事が、
土地の境界で困っているあなたの
一助となれば幸いです。