「日当たりが悪くなった!
どうしてくれるんだ!」
こんにちは。
福井県福井市の行政書士、
太田哲郎です。
日当たりについて新築中に隣家から
クレームが入るというのは
よくある話です。
住宅・不動産の現場では
このようなクレームは日常茶飯事です。
明らかに嫌がらせ目的の
言いがかりをつけられることも
あります。
今回は、違法建築ではないという前提で
新築中に隣家から日当たりについて
クレームがあった際の対応等について
お話していきたいと思います。
日当たりに関連する法律等
日当たりに関連する法律等は、
以下のものを抑えておけば
大丈夫です。
【日照権】
日照権とは、住宅などの建築物への日当たりを確保する権利。 日本国憲法第13条に定める幸福追求権を根拠としている
日照権という権利があるということは
覚えておきましょう。
【民法】
第234条
1.建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。
第235条
1.境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
第236条
前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
新築する際、足場を建てるのに、
隣地から最低70センチは必要なので、
ハウスメーカーで家を新築する場合は、
基本的に守られます。
住宅密集地で、周りの家が間隔無く
建てられているときは、
それが優先されますし、
逆に2m以上間隔を開けるのが
普通であれば、その慣習に従います。
ハウスメーカーなどが、
遵守しないということは、
まずありえません。
【北側斜線制限】
北側斜線制限とは、敷地の北側隣接地の日照を確保するための制限。北側の前面道路の反対側の道路境界線または北側隣地境界線に面した建物部分の高さを制限している。
【日影規制】
日影規制とは、冬至の日(12月22日ごろ)を基準にして、一定時間以上の日影が生じないよう、建物の高さを制限するもの。
北側斜線制限、日影規制に
抵触している場合、
基本的に確認申請が下りません。
確認申請が下りていて
確認済証が発行されていれば、
クリアしていると考えてよいです。
建物による日照権侵害が受忍限度(通常、お互いががまんするべき範囲)を超えている場合には、損害賠償請求や差し止め請求ができる。法令等違反の有無、被害の程度、地域特性、先住性等を総合して個別に判断する。
損害賠償請求や工事差し止め請求が
できる場合の基準です。
個別判断となります。
実際のクレーム
クレームは、施主様にではなく
ハウスメーカーに入ることが
ほとんどです。
このような感じでクレームが入ります。
■近隣挨拶している。
■建物については着工前に
図面で説明済み。
(北側斜線等)
■隣地からの離隔距離は
着工前に地縄で確認済み。
■隣家の方の土地が高い。
■日当たりが悪くなったのは
隣家お庭の一部。
■影になる部分があることは
着工前に説明済み。
ハウスメーカー、施主様の対応が
ほぼ完ぺきであるにもかかわらず、
それでもクレームが入ることが
あります。
建築中は足場があり、
足場の落下防止ネットの影によって
建築中は余計に暗く感じるのかも
しれません。
通常の木造2階建て住宅であれば、
建築基準法の日影規制に適合している場合、
民事上の受忍限度を超えない限り、
日照権侵害と判断される可能性は
極めて低いと個人的には考えます。
問題は、クレームを入れてきた人が、
いわゆるやべーヤツだった場合ですが、
この手のクレームを入れてくる人で
ヤ〇ザ的なやべーヤツはほとんどいなくて、
むしろパッと見、普通の若夫婦だったり、
ただ声がでかいだけの老人だったりします。
言われっぱなしだと、今後の新生活に
支障をきたしかねませんので
言うべきことはきちんと
言うようにしましょう。
クレーム対応
クレーム対応としては、
相手の話をよく聞き、感情的にならず、
こちらも主張すべきことは主張する
というのが望ましいです。
ハウスメーカーの方が対応に当たる場合、
施主様に矛先が向いてしまうのを
心配していますので、
最初は及び腰かもしれません。
ですから
「毅然とした対応をしてください。」
と、施主側からはっきりと
伝えてあげるようにしましょう。
きっとあなたに寄り添った対応を
してくれると思います。
ハウスメーカを責めて敵に回すのは
悪手中の悪手だと心得てください。
理不尽な主張をしてくるならば、
それは単なるたちの悪いクレーマーです。
世の中にはいろんな人がいて、
ズレてておかしな人もいますので、
いちいち気にしていたら
キリがありません。
クレームを防ぐために着工前にやっておくこと
■着工前の近隣挨拶
ハウスメーカー任せにしない。
■地縄時に隣家へ説明
ハウスメーカー任せにしない。
図面で説明するのがベスト。
■法令順守
中でも、着工前の近隣挨拶は
たいへん重要です。
ハウスメーカー任せにせず、
施主自身でしっかりと
近隣挨拶するようにしましょう。
近隣からクレームがあった場合、
話し合いにてお互いが納得したうえで
工事を進めるのがベストな解決法ですが、
施主側の対策としては
わかりあえなかった場合を
想定しておくことは
必要かもしれません。
この記事が、理不尽なクレームで
苦しんでいるあなたの一助となれば
幸いです。
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