「うちには遺言なんて必要ないよ」
こんにちは。
福井県福井市の行政書士、
太田哲郎でございます。
「遺産分割でもめるほどの
遺産なんてないよ。」
と思うかもしれませんが、
それでもトラブってしまうのが
相続です。
今回は、特に遺言を残した方がいい
15のケースを紹介したいと思います。
もし当てはまるものがあれば
今すぐ遺言を作ることを
検討してみてください。
①兄弟姉妹の仲が悪い
小さい頃は仲が良かったのに、
結婚して家庭を持つと
仲が悪くなってしまう
場合があります。
被相続人と暮らしていた長男の嫁と
その他の兄弟姉妹の関係などが
典型です。
兄弟姉妹間では年長者の力が強いケースが
多いでしょうし、いっしょに同居して
世話をしていたりすればなおさらです。
財産を残すことで子どもたちの
関係が悪化したり疎遠になったりするのは
とても悲しいことです。
スムーズに遺産分割が進むよう
遺言を残しておきましょう。
②子どもがいない
子どもがいない場合、配偶者と
両親が相続人になります。
そして両親もなくなっている場合は、
被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹も亡くなっている場合は、
甥や姪が代襲して相続人となるわけですが、
そこまでいくと疎遠になっている
ケースもあるかと思います。
③子どもが未成年
高齢で子どもができた場合などです。
未成年者には親権者が必要ですが、
親権者がいなくなる場合は
未成年後見人を指定することができます。
大切な子どもの行く末が
心配でない人はいないでしょうから、
一番信頼できるる人に見てもらえるよう、
遺言で指定しておくことを
オススメいたします。
④相続人が多い
子どもが複数いる場合、
代襲相続で甥や姪が相続人になる場合、
養子縁組を組んでいた場合などは
相続人の数が多くなります。
住居地が離れていたり、
互いの関係が疎遠である場合、
話し合いが困難になり、
遺産分割協議がまとまらず、
負担をかけることになります。
遺言で相続分と遺言執行者を
指定しておきましょう。
⑤子どもの嫁が面倒を見てくれていた
息子の嫁は相続人ではありませんので、
財産の相続はできません。
しかし、長年にわたって
身の回りの世話をしてくれたり、
介護をしてくれたりするケースは
多いです。
このような場合、
世話になった息子の嫁に、
遺言によって財産を
与えることができます。
⑥相続させたくない人がいる
親不孝者や面倒を見てくれない子どもには
一切、財産を残したくない!
こう思っていても、遺言を残さない限り
遺産は法定相続分に従って相続されます。
相続分をゼロにする遺言書を書いても
遺留分といって最低限相続できる
財産が決まっており、
相続されてしまいます。
1円も相続させたくない場合は
「廃除」制度によって
相続分の権利をなくす方法が
あります。
そして「廃除」は生前にもできますし、
遺言でもできます。
ただし、廃除が認められる
ケースは少ないので、
廃除が認められた場合と
認められなかった場合の遺
産分割方法を遺言によって
明記するのが良いです。
⑦自営業の場合
事業用の資産は後継者に
相続させる必要があります。
相続人の間で単純に財産を分けると
事業が継続できなくなる場合が
考えられます。
そこで遺言を残し、
後継者には事業用資産を相続させ、
事業負債を負担させるという
対応が必要です。
また、後継者には事業発展に
貢献した分を寄与分として
相続財産を上乗せすることが可能です。
⑧自宅以外に財産がない
財産が自宅しかない場合で
相続人が複数いたとすると、
自宅を売却してそのお金を分ける
ということも考えられます。
その場合、残された配偶者の
住む場所が無くなってしまうかも
しれません。
遺言で「住居は〇〇に残す」とすれば、
もめた場合でも他の相続人に渡すのは
遺留分だけということになり、
住まいを確保できる可能性が高まります。
⑨かわいがっているペットがいる
遺言によって、
特定の人にペットの世話をしてもらう
代わりに財産を渡すという
「負担付き遺贈」という方法があります。
ペットの世話にかかる費用を
事前に見積もっておき、
信頼できる人の承諾を
得ておきましょう。
⑩自分以外、遺産を把握できない
預貯金がどの銀行にいくらあるのか、
不動産は持っているのか、
借金はいくらあるのか、など
財産の所有状況を
一番わかっているのは自分です。
遺言書に明記しておくことで
相続人の時間や労力、費用の無駄を
防ぐことができます。
◆
遺言というと死ぬ直前に書くものだ
という印象をお持ちかもしれません。
自分はまだ若いし、
今から自分が死んだ後のことを
考えるのは気が進まない、
と多くの人が考えていることでしょう。
しかし、人生は、
いつ何が起こるかわかりません。
ボケてしまうかもしれませんし、
急病で倒れてしまって
遺言書を作る余裕がなくなってしまう
可能性もあります。
自分の財産を一度整理する
という意味でも、まずは一度、
遺言書を作成してみては
いかがでしょうか。
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