市街化調整区域の農地に家を建てる方法

行政書士

市街化調整区域は
農地を守っていこう!
という地域ですから、

その地域にある地面は基本的に
田んぼや畑であり、そこに家などの
建物を建てることはできません。

もし家を建てる場合は
行政の許可が必要となりますが、
簡単に許可をしてくれるわけではなく、
厳しい条件があります。

必要な許可は、
都市計画法29条開発許可
農地転用5条許可です。

この2つの許可は同時に提出し、
都市計画法29条許可のあと
農地法5条許可という順序で
処理されます。

参考記事
農地転用許可申請とは?

提出書類や条件が
重複しているところが多いので、

今回はまとめて
市街化調整区域の農地に家を建てる方法、
いわゆる分家住宅について
解説していきます。

尚、許可申請は個人でもできますが、
提出書類が複雑であり、
住宅会社等と連携して進めていく
必要がありますので

行政書士に依頼することを
オススメします。

分家住宅を建てる条件

家を建てることができる人

本家

■同居している親族
■過去に同居していた親族
■その人と結婚をする予定の人

が家を建てることができます。

本家=農家

と考えてもらって差し支えありません。

ですから、上に該当しない人が
市街化調整区域の家を建てることは
できないということです。

家を建てる理由

市街化調整区域に家を建てるには
理由が必要です。

理由もなく、ただ親族だから、
という理由では許可されない
というわけです。

■婚姻等
■退職、転勤等
■居住している住宅が狭小過密
■疾病等
■Uターン等

上のいずれかの理由に
該当していなければならない
とされています。

上記の理由に該当しなければ
家を建てることはできません。

家を建てる土地

実家が農家だからと言って
どの田んぼや畑にでも家が建てれる
というわけではなく、

建てれる土地についても
制限があります。

■本家が10年以上所有の農地
■敷地面積500㎡以下
■本家との直線距離概ね50m以内

許可を取るためにやること

①許可要件に該当するかを確認

まず、分家住宅を建てる許可を
受けれるかどうか、役場で確認する
必要があります。

都市計画課などの
都市計画法を取り扱う課と

農業委員会など
農地法を取り扱う課に出向いて
担当者に確認するのです。

許可要件に該当するのであれば
許可となる見込みは高いですが、
該当しないようなら、
分家住宅を建てることはできません。

②住宅会社とプラン打合せ

許可を受けるための添付書類の中に
建物の配置図、平面図、立面図が
あります。

これは適当に作ればOK
というわけではなく、
ほぼ完成形の図面が必要です。

農地は水が大事なわけですが、
家に給排水設備の位置や規模が変わると
他の田んぼや畑に影響を与える
可能性などの再確認が必要となるため、
面積等の変更はNGとなっているからです。

住宅会社が作成した完成形の図面を
許可申請時に添付する必要があります。

また資金計画書も添付する
必要があります。

それには家住宅を建てるための
全資金を記載する必要があるのですが、
建物の見積もりが出ないと
書きようがありません。

行政としても許可を出した後、

やっぱり高かったので
家を建てれませんでした、

というわけにはいきませんので、
かかる資金をすべて記載する
必要があるのです。

③住宅ローンの申し込み

添付書類に融資証明書が必要です。

住宅ローンの審査が
通っていますという証明書を
銀行に出してもらう必要があります。

これもやはり、
お金が払えませんでした、と言って
計画が頓挫することのないように
裏を取っているわけです。

④許可申請に必要な書類の作成

①-③までやってようやく
許認可の書類作成に
本格的進んでいくことになります。

申請時に厳しく見られるのは
許可申請理由です。

単なる分家住宅ではダメ、
必要性を明確に詳しく記載し、
申請者が記名をする必要があります。

許可が下りるのにどのくらいかかるか?

許可要件に合致していて、
かつ申請書類が完璧にそろっている
状態であれば、

都市計画法29条許可は2-3週間、
農地法5条許可は約2ヶ月で
許可となります。

実家が農家だから
市街化調整区域の田んぼに
家を建てるのは簡単だろう

と思うかもしれませんが、
実は条件は厳しく、書類は多く、
時間がかかるのが
分家住宅に係る許可申請です。

参考
農転許可制度の概要

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