隣家の木の枝が越境している場合の対処法|切っていい?要望書・覚書文例

行政書士

隣の家の木の枝が、自分の敷地に越境してきて困っていませんか?

「日当たりが悪くなった」
「落ち葉の掃除が大変」
「勝手に切っても大丈夫なのだろうか」

このような悩みは、近隣トラブルの中でも非常によくあるものです。

結論から言うと、隣家の木の枝が越境している場合、民法に基づいて相手に切除を求めることができます。
また、一定の条件を満たせば、自分で枝を切ることも可能です。

もっとも、何の連絡もなく枝を切ってしまうと、かえってトラブルに発展するおそれがあります。
近隣関係を悪化させないためにも、正しい手順で対応することが重要です。

実務では、まず要望書などの書面で正式に通知することで、円満に解決するケースが多く見られます。
さらに、今後のトラブルを防ぐために覚書を作成することも有効です。

この記事では、

・越境した枝は勝手に切っていいのか(民法のルール)
・トラブルにならないための正しい対応手順
・要望書・覚書の文例(そのまま使えます)

について、行政書士の実務目線で分かりやすく解説します。

隣家との関係を悪化させることなく、適切に問題を解決するための参考にしていただければ幸いです。

隣家の木の枝が越境している場合の結論

隣家の木の枝が境界線を越えて自分の敷地に入っている場合、
民法により、木の所有者に枝の切除を求めることができます。

そして、

・枝の切除を求めたにもかかわらず
・相当期間が経過しても対応されない場合

は、自分で枝を切り取ることも可能です(民法233条)。

ただし、トラブルを避けるためにも、
いきなり枝を切るのではなく、まずは口頭または書面で正式に依頼することが重要です。

実務上は、以下の順番で対応するのが安全です。

1.まずは口頭でお願いする
2.要望書などの書面で正式に通知する
3.必要に応じて覚書を作成する
4.それでも対応されない場合に限り、自ら枝を切除する

特に、書面で通知しておくことで、

・トラブルの予防
・証拠の確保
・円満な解決

につながります。

実際には、要望書を送ることで解決するケースがほとんどです。

次に、越境した枝の取り扱いについて、民法のルールを詳しく解説します。

越境した枝は勝手に切っていい?(民法233条のルール)

隣家の木の枝が自分の敷地に越境している場合でも、
原則として、いきなり勝手に枝を切ることは推奨されません。

この点については、民法233条で明確に定められています。

土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
また、竹木の所有者に切除を求めたにもかかわらず、相当の期間内に切除しないときは、自らその枝を切り取ることができる。


原則:まずは木の所有者に切除を求める必要がある

越境している枝は、あくまで隣家の所有物です。

そのため、まずは木の所有者に対して、
枝を切除するよう依頼する必要があります。

多くの場合は、口頭でお願いするだけで対応してもらえるため、
まずは穏便に話し合うことが望ましいといえます。


例外:一定の条件を満たせば自分で切ることができる

次の条件を満たした場合には、
越境している枝を自分で切ることが可能になります。

・枝の切除を相手に依頼した
・相当期間が経過した
・それでも相手が切除しない

この場合、越境している部分に限り、
自ら切除することが認められています。


トラブル防止のためには書面での通知が重要

実務上は、

「言った」「言っていない」

というトラブルを避けるためにも、
要望書などの書面で通知しておくことが非常に重要です。

書面を送っておくことで、

・正式に切除を求めた証拠になる
・相手に真剣さが伝わる
・円満に解決しやすくなる

といったメリットがあります。

次に、トラブルにならないための具体的な対応手順を解説します。

隣家の木の枝が越境している場合の正しい対応手順(4ステップ)

隣家の木の枝が越境している場合は、
いきなり枝を切るのではなく、段階を踏んで対応することが重要です。

適切な手順で対応することで、近隣トラブルを防ぎ、円満な解決につながります。


手順① まずは口頭でお願いする

まずは隣家の所有者に直接会って、
枝を切ってもらえないか丁寧にお願いしてみましょう。

この段階で対応してもらえるケースが多く、
最も円満に解決できる方法です。

相手も越境していることに気づいていない場合もあります。

感情的にならず、冷静に伝えることが重要です。


手順② 要望書を送る(推奨)

口頭でお願いしづらい場合や、
お願いしても対応してもらえない場合は、要望書を送ります。

要望書とは、

「越境している枝の切除を求める正式な書面」

です。

書面で通知することで、

・正式に依頼した証拠が残る
・相手に真剣さが伝わる
・トラブルを未然に防ぐ

といったメリットがあります。

実務上は、この段階で解決するケースがほとんどです。


手順③ 必要に応じて覚書を作成する

枝の切除について話し合いがまとまった場合は、
覚書を作成しておくとより安心です。

覚書を作成しておくことで、

・今後の対応方法を明確にできる
・同じトラブルの再発を防止できる
・双方の認識のズレを防げる

といったメリットがあります。

特に、樹木は成長するため、
将来的に再び越境する可能性がある場合には有効です。


手順④ 最終手段として自分で切除する

要望書などで正式に切除を求めたにもかかわらず、
相手が相当期間内に対応しない場合は、

越境している部分に限り、
自分で枝を切ることが認められています。

ただし、トラブルを避けるためにも、

・事前に書面で通知しておくこと
・越境している部分のみ切除すること

が重要です。

無断で切除すると、トラブルに発展する可能性があるため、
慎重に対応する必要があります。

要望書を送るメリットと注意点

隣家の木の枝が越境している場合、
口頭でお願いするのが難しいときや、お願いしても対応してもらえない場合には、
要望書を送ることが有効です。

要望書とは、越境している枝の切除を正式に求める書面のことです。

口頭でのやり取りと異なり、書面で通知することで、
正式に切除を求めた事実を証拠として残すことができます。


要望書を送るメリット

要望書を送ることには、次のようなメリットがあります。

・相手に正式な依頼として認識してもらえる
・「言った・言っていない」というトラブルを防げる
・相手に心理的な対応動機を与える
・今後の紛争予防につながる

実務上は、要望書を送ることで、
多くのケースが円満に解決します。

相手も書面で正式に通知されることで、
問題の重要性を認識し、対応してくれることが多いためです。


要望書を送る際の注意点

要望書は、相手との関係を悪化させないよう、
冷静で丁寧な表現で作成することが重要です。

感情的な表現や、威圧的な内容は避けるべきです。

また、

・越境している事実
・切除を求める内容
・対応をお願いする趣旨

を明確に記載する必要があります。

トラブル防止の観点からは、
コピーを保管しておくことも重要です。


覚書を作成するメリットと効力

隣家の木の枝の越境問題について、話し合いにより解決した場合でも、
その内容を書面として残しておくことが重要です。

その際に有効なのが「覚書」です。

覚書とは、当事者同士で合意した内容を書面にまとめたもので、
後日のトラブル防止に役立ちます。

口頭での合意だけでは、

「そんな約束はしていない」
「認識が違う」

といった問題が生じる可能性があります。

覚書を作成しておくことで、
双方の合意内容を明確にすることができます。


覚書を作成するメリット

覚書を作成することで、次のようなメリットがあります。

・合意内容を書面で明確にできる
・将来のトラブルを防ぐことができる
・双方の認識のズレを防げる
・証拠として残すことができる

特に、樹木は時間の経過とともに成長するため、
将来的に再び越境する可能性があります。

その場合の対応方法についても、
あらかじめ覚書で定めておくことが有効です。


覚書の法的効力について

覚書は、当事者双方が合意して作成し、署名または記名押印することで、
法的に有効な合意書として機能します。

裁判になった場合でも、
重要な証拠として扱われる可能性があります。

そのため、内容は慎重に作成する必要があります。

覚書を作成する際には、覚書・同意書・念書などの違いを理解しておくことも重要です。

→ 覚書、念書、同意書の違い
覚書・念書・同意書の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

要望書・覚書の作成は行政書士に依頼することもできます

隣家の木の枝の越境問題では、
書面の内容や表現が非常に重要になります。

伝え方を誤ると、問題が解決しないどころか、
かえって近隣関係が悪化してしまう可能性もあります。

特に、

・相手が対応してくれない場合
・トラブルに発展する可能性がある場合
・正式な書面として残したい場合

には、専門家に依頼することが有効です。

行政書士は、権利義務に関する書類作成の専門家であり、

・要望書
・内容証明郵便
・覚書
・合意書

などの書類を作成することができます。

専門家が作成した書面は、法的な観点からも適切な内容となり、
トラブルの予防や円満な解決につながります。


近隣トラブルは早期対応が重要です

近隣トラブルは、放置してしまうと、
関係が悪化し、解決が困難になることがあります。

早い段階で適切に対応することで、
円満に解決できる可能性が高まります。

書面による通知を検討されている場合は、
行政書士への相談も一つの方法です。


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