テレビなどで空中から撮影された美しい映像を見ることも多くなりました。それがドローンによって撮影されているというのは多くの方がご存じだと思います。
これまで見ることのできなかった空中からの映像を簡単に見ることができるということで、ドローンは様々な場所で活躍しています。
プロペラが4つあって大きな虫のロボットみたいな形をしてるあれがブンブン空を飛んでいるわけです。速いものだと時速70km、地上から数kmの高さを飛ぶスペックがあるほど高性能だそうですが、心配なこともありますよね。
「ドローンて勝手に飛ばしていいんですか?落下したり、暴走したりしませんか?」
ドローンを見たときに私が思った疑問です。ということで今回は意外と知られていないドローンについて要点をわかりやすく説明していきたいと思います。
ドローンて落下したり、暴走したりしませんか?
2021年中国にて、イベント中に演出に使われていたドローンのうち10機が制御を失って暴走し、墜落する事故が起きました。地球には重力が働いており、空を飛んでいる物体はドローンに限らず墜落する可能性がありますし、電波障害による暴走も考えられます。
万が一ドローンが暴走し、墜落してしまうと大きな被害になってしまいます。そのためドローンの安全な運転を確実なものとするため、航空法や関係法令、都道府県条例などで細かく飛行禁止空域や飛行の方法に関する同法のルールが定められており、国交省からドローンの飛行についてのガイドラインが出されています。
特にドローンを飛行させる場所や飛行方法については厳しい制限があり、航空法において、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域及び方法での飛行を行う場合、飛行許可が必要になります。適切な許可・承認を取得せずに無人航空機を飛行させる等した場合は、懲役又は罰金に科せられます。
航空法 飛行許可
ドローンで特定飛行を行う場合、航空法の飛行許可が必要となります。特定飛行とは、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域及び方法での飛行のことです。
国土交通大臣の許可が必要となる空域
■空港等の周辺
航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるためです。
■150m以上の上空
地表または水面から150m以上の上空は、航空機の航路があるためです。
■人口集中地区の上空
許可なく飛ばしてしまい、万一墜落したら大きな被害になるからです。人口集中地区は国土地理院の地図にて確認できます。(地理院地図)
■緊急用務空域
災害等の規模に応じ、捜索、救助等活動のため緊急用務を行う航空機の飛行が想定される場合に、緊急的に指定される空域です。最近では2024.1.1に大きな地震が起きた石川県能登半島地域が指定されました。
国土交通大臣の承認が必要となる飛行方法
以下の方法でドローンを飛行させようとする場合には、あらかじめ地方航空局長の承認を受ける必要があります。
■夜間での飛行
■目視外での飛行
■人又は物件と距離を確保できない飛行
■催し場所上空での飛行
■危険物の輸送
■物件の投下
ドローンの飛行許可・承認手続き
飛行許可申請が必要なのはどんな人?
人口が集中していない場所で、低い高度でドローンを飛ばす分には許可がいらないわけで、個人でドローンを楽しんでいる人にはあまり関係のない飛行申請許可ですが、どんな人たちが飛行許可を取っているのでしょうか。
実はドローンの飛行許可を取っているのは企業が多く、それも元請の建設会社やハウスメーカーなどの建築会社が多い印象です。公共工事で行う測量、施工管理進捗確認、現地調査、建物が建つ前の日当たりや眺望確認などがメインです。
その他には、映像制作会社や大規模な農業を行う会社や個人(農薬や肥料の散布)も多いです。
ドローンの飛行許可申請方法
許可申請先は東京航空局もしくは大阪航空局になります。申請先が2つしかないので、郵送か電子申請になるわけですが、メインは電子申請です。
ドローンの飛行許可申請は、DIPS「ドローン情報基盤システム(飛行許可承認機能)」で行います。
トップページからアカウントを作成し、IDとパスワードを取得し、取得出来たらDIPSにログインして、マニュアル(ドローン情報基盤システム操作マニュアル(飛行許可・承認申請編))を見ながら申請していきます。
DIPSにて申請手続き中に60分以上何も操作しない状態で作業を中断すると、悪意を持った第三者に画面を見られ、個人情報が漏洩するリスクを下げるための保護機能が働き、手続きのやり直しになります。
行き当たりばったりで申請に進むと、確認が必要なことが重なって調べてるうちにデータが消えてやり直しになることもありますので、最低でも以下の情報は申請前に準備しておきましょう。
申請手続き申請内容に不備があった場合などは追加確認や補正指示があるため、飛行開始予定日から3-4週間前に申請しましょう。
ドローンの飛行形態については、リスクの高いものからカテゴリーⅢ・Ⅱ・Ⅰに分類され、該当するカテゴリーに応じて手続きのが異なります。国土交通省のHPで確認できます。
申請書が承認さたら許可書が発行されます。DIPS内で確認できます。
飛行許可・承認を受けた飛行(特定飛行)を実施するにあたっては、飛行計画の通報、飛行日誌の作成が必要です。(様式等はコチラから→無人航空機の飛行日誌の取扱要領)
また、特定飛行かどうかに関わらず無人航空機に関する事故等が発生した場合、救護義務及び当該事故の詳細を航空局へ報告する必要があります。
ドローンはとても便利なものでです。年々、活用する人や企業が増えており、将来的には物流、建設、農業、災害救助、エンタメなど幅広い分野で活躍する可能性を秘めています。
今はあまりなじみのない人も多いかもしれませんが、近い将来、ドローンは私たちにとってもっと身近なものになるかもしれません。ぜひこの機会に知識を深めておきましょう。