【建設業許可あるある①】建設業許可の相談で、最初に確認するのは「年数」じゃない

行政書士

建設業許可の相談を受けると、かなりの確率で最初に聞かれるのがこの質問です。

「年数、足りてますか?」

もちろん大事なポイントですし、無視はできません。
ただ、私が最初に確認するのは、年数そのものではありません。

今日はその話を、実務寄りで少しだけ書いてみます。


年数は「入口」だけど「答え」ではない

建設業許可では、

  • 経営業務の管理責任者(いわゆる経管)
  • 営業所技術者(専技)

どちらも「◯年以上」という年数要件が目立ちます。

そのため、

  • 個人事業主を◯年やっていました
  • 法人で◯年取締役でした
  • 現場経験が◯年あります

という情報が、最初に出てくるのは自然です。

ただ、ここで一つ大きな落とし穴があります。

年数だけ見ても、可否はほぼ判断できない
という点です。


私が最初に見るのは「立場」と「中身」

年数の前に、必ず確認するのは次の点です。

  • その期間、どんな立場だったのか
  • 実際に何をしていたのか

たとえば、

  • 代表取締役として5年
  • 取締役として5年
  • 現場責任者として10年

数字だけ見ると安心感がありますが、
許可実務では、ここからが本番です。


よくある「いけそうで危ない」パターン

実務でよく見るのが、こんなケースです。

  • 役員にはなっているが、実態は現場専任
  • 経営判断はすべて別の人が行っていた
  • 名義上は個人事業主だが、実質は雇われに近い
  • 請負契約・資金管理・対外折衝に関与していない

この場合、年数は足りていてもアウトになる可能性があります。

逆に、

  • 年数が少し足りないように見える
  • ただし、実態としては経営に深く関与している

というケースもあり、
こちらは「設計次第で道が残る」こともあります。


書類は「年数」より「説明力」

もう一つ重要なのが、どう説明するかです。

  • どんな業務を行っていたのか
  • どの立場で、どの判断に関わっていたのか
  • 継続性・一貫性はあるか

これを、

  • 履歴書
  • 確認資料
  • 説明文

で、行政が納得できる形に落とし込めるか

ここが弱いと、
「年数はあるけど通らない」
という状況が起きます。


「とりあえず出してみましょう」が危ない理由

年数だけを見て、

「まあ、いけそうなので出してみましょう」

という進め方は、正直おすすめしません。

理由はシンプルで、

  • 補正が長引く
  • 行政の心証が悪くなる
  • 後戻りしづらくなる

からです。

一度「この人は経管として弱い」という印象を持たれると、
同じ説明でも通りにくくなることがあります。


だから最初に「年数」だけは見ない

私が最初に確認するのは、

  • 年数
    ではなく
  • 立場 × 実態 × 説明可能性

です。

年数は、そのあとで十分です。


まとめ(結論)

  • 年数は重要だが、それだけでは判断できない
  • 「何年やったか」より「何をしていたか」
  • 書類は事実+説明で初めて意味を持つ
  • 早い段階で整理した方が、結果的に近道になる

建設業許可は、
制度よりも実務がモノを言う場面が意外と多いです。

もしこれから許可を考えている方がいれば、
年数を数える前に、一度立ち止まって整理してみることをおすすめします。

  • 【建設業許可あるある②】経管はいけそうに見えて、実は危ないケース
  • 【建設業許可あるある③】専技を外注で済ませようとして、失敗する話
  • 【建設業許可あるある④】更新なのに、新規並みに大変になる会社の特徴
  • 【建設業許可あるある⑤】行政に「それは無理です」と言われたときの受け取り方
  • 【建設業許可あるある⑥】書類は揃っているのに、通らない申請の正体
  • 【建設業許可あるある⑦】赤字でも許可は取れるが、「ここ」を見落とすと詰む
  • 【建設業許可あるある⑧】役員変更を甘く見てはいけない理由
  • 【建設業許可あるある⑨】経験年数が足りないときに考える、現実的な選択肢
  • 【建設業許可あるある⑩】「とりあえず出してみましょう」が危険な理由

(制度的な整理や具体的な手続きの流れについては、別サイトでまとめています。)

ふくいの建設業許可申請手続き相談室