相談を受けていると、
こんな言葉を期待されているな、と感じる瞬間があります。
「できますよ」
「大丈夫です」
「問題ないです」
依頼者としては、
この一言を聞けると安心しますよね。
ただ、実務をやっている立場からすると、
あえて「できます」と言わない方がいい場面
というのは、確実に存在します。
今日は、その話です。
「できます」は一番ラクな言葉でもある
正直に言うと、
「できます」
と言うのは、
話を早く進めるうえでは一番ラクです。
- 空気が良くなる
- 話が前に進む
- その場は安心してもらえる
でもその分、
後から効いてくる言葉でもあります。
言わない方がいい場面① 条件が整理しきれていないとき
相談の初期段階で、
- 情報がまだ出揃っていない
- 不利な点が隠れていそう
- 前提が曖昧
この状態で「できます」と言うのは、
かなり危険です。
あとから、
- 話が違う
- 前提が崩れる
- 説明が変わる
ということが起きやすくなります。
言わない方がいい場面② グレーが濃いと感じるとき
- 解釈に幅はある
- でも説明がかなり苦しい
- 担当者次第で結果が変わりそう
こういう案件で「できます」と言ってしまうと、
通らなかったときのダメージ
が大きくなります。
- 期待値が上がりすぎる
- 納得してもらいにくくなる
結果的に、
信頼を削る言葉になってしまうことがあります。
言わない方がいい場面③ 「今はやらない方がいい」と思うとき
制度上は可能でも、
- タイミングが悪い
- 体制が整っていない
- 今動くと不利
そう感じる案件もあります。
このときに「できます」と言ってしまうと、
- 無理に進める流れになる
- 後戻りしづらくなる
だから私は、
「今はやらない方がいいですね」
と伝えることがあります。
「できる/できない」ではなく「どういう状態か」
私が意識しているのは、
- できます
- できません
という二択ではなく、
- どこが問題か
- どこが不安定か
- どうすれば安定するか
を先に共有することです。
そのうえで、
「この状態なら進められます」
「この部分を整えれば可能です」
という言い方をします。
期待値を下げることは、誠実さでもある
「できます」と言わないと、
- 消極的に見える
- 自信がないように見える
と思われることもあります。
でも実務では、
- 期待値を下げてスタートした案件
の方が、
結果的に満足度が高いことが多いです。
行政手続きは「確率」の話でもある
正直に言うと、
許認可には
- 確実
- 絶対
という言葉が使えない場面もあります。
だからこそ、
- 可能性
- リスク
- 条件
を一緒に見たうえで、
判断してもらう方が健全だと思っています。
まとめ(結論)
- 「できます」は簡単だが重い言葉
- 整理できていない段階では言わない
- グレーが濃い案件ほど慎重になる
- 状態と条件を先に共有する方が結果は安定する
行政書士の仕事は、
安心させることではなく、
正しく判断できる材料を出すこと
だと思っています。
だからこそ、
あえて「できます」と言わない場面を、
大事にしています。
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