行政書士の仕事について話していると、
ときどきこんな言われ方をすることがあります。
「書類を作ってもらう仕事ですよね?」
間違ってはいません。
でも、正直に言うと、
それだけだと思われると、少し違和感があります。
今日は、
私がなぜ「行政書士=書類屋」だとは思っていないのか、
その理由を書いてみます。
書類は「成果物」であって「仕事そのもの」ではない
行政書士の仕事には、
確かに書類作成が含まれます。
- 申請書
- 添付書類
- 説明資料
ただ、これらはすべて
最終的に形として残る成果物です。
本当の仕事は、その前にあります。
一番時間を使っているのは「整理」
実務で一番時間を使っているのは、
- 何が問題なのか
- どこがネックなのか
- 何を先に決めるべきか
を整理する作業です。
依頼者の話を聞いていると、
- 情報がバラバラ
- 思い込みが混ざっている
- 不利な点が埋もれている
ことがほとんどです。
それを一度ほどいて、
使える事実と、注意すべき点に分ける。
ここが整わないと、
どんなに書類を作っても、前に進みません。
行政は「書類」ではなく「中身」を見ている
よく、
「この書類があれば通りますか?」
と聞かれます。
でも実務では、
- 書類があるか
より - その書類で何を説明しているか
の方が重要です。
行政は、
- 数字
- 年数
- 肩書き
を見ているようで、
実際には
「この説明で、判断していいか」
を見ています。
書類は「翻訳」だと思っている
個人的には、
行政書士の書類作成は
翻訳に近い仕事
だと思っています。
- 現場の実態
を - 行政が判断できる言葉
に置き換える。
現場の感覚をそのまま持っていっても、
行政には伝わりません。
逆に、
制度の言葉をそのまま並べても、
実態が伝わらない。
この間をつなぐのが、
行政書士の役割だと思っています。
「書類屋」で済む案件は、だいたい簡単な案件
正直に言うと、
- 要件がきれいに揃っている
- 体制も明確
- 説明の余地がない
こういう案件は、
書類を作るだけで終わります。
でも、
相談が来る案件の多くは、
- どこかが足りない
- どこかが曖昧
- そのままでは通らない
そういうケースです。
だから「書く前」が一番大事
実務の感覚としては、
- 書く前の整理:8割
- 書類作成:2割
くらいです。
「何を書くか」が決まっていない状態で
書類を作り始めると、
ほぼ確実に手戻りが出ます。
依頼者にとっての価値は「書類」ではない
依頼者にとって本当に欲しいのは、
- 書類
ではなく - 結果
です。
- 通るかどうか
- 後で問題が出ないか
- 安心して進められるか
そのために、
書類という形を使っているだけだと考えています。
まとめ(結論)
- 行政書士の仕事は書類作成だけではない
- 一番大事なのは「整理」と「設計」
- 書類は実態を伝えるための手段
- 「書類屋」で済ませない方が、結果は安定する
行政書士という仕事は、
書く仕事である前に、考える仕事だと思っています。
- 【行政書士という仕事・考え方②】相談を受けても、受任しない案件について
- 【行政書士という仕事・考え方③】グレー案件と、どう向き合っているか
- 【行政書士という仕事・考え方④】行政と対立しないために、意識していること
- 【行政書士という仕事・考え方⑤】「できます」と言わない方がいい場面
- 【行政書士という仕事・考え方⑥】価格で勝負しないと決めた理由
- 【行政書士という仕事・考え方⑦】補正が出たときに、一番大事なこと
- 【行政書士という仕事・考え方⑧】依頼者に、本音で言いにくいこと

