行政書士として仕事をしていると、
「相談=受任」
だと思われることがあります。
でも実際には、
相談を受けても、お引き受けしない案件
というのは、少なからずあります。
今日はその話を、少し正直に書いてみます。
「できるかどうか」だけで判断しない
相談を受けたとき、
まず考えるのは、
- できるか
ではなく - やるべきか
です。
制度上は可能でも、
- 無理がある
- 後で必ず困る
- 今はやらない方がいい
そう感じる案件もあります。
受任しないケース① グレーを押し切ろうとする案件
一番分かりやすいのがこれです。
- 事実と違う説明を前提にしている
- 「このくらい大丈夫ですよね?」が多い
- 指摘すると不機嫌になる
このタイプの案件は、
仮に一度通っても、
- 更新
- 変更
- 調査
のどこかで、必ず問題になります。
そのときに、
一番苦しくなるのは依頼者本人です。
受任しないケース② 話が整理できないまま進めたがる案件
- 話すたびに前提が変わる
- 重要な事実が後出しになる
- 不利な情報を小出しにする
こういう状態で申請を進めると、
- 説明が一貫しない
- 書類同士が噛み合わない
- 行政からの信用が落ちる
結果として、
案件そのものが不安定になります。
受任しないケース③ スピードだけを求める案件
「とにかく早く出したい」
「多少無理でもいいので」
この言葉が出たときは、
一度立ち止まります。
- 早さを優先すると
- 整理が後回しになる
- 後で大きな修正が必要になる
スピードが価値になる案件と
スピードがリスクになる案件
は、はっきり分かれます。
受任しないケース④ 結果より「通った実績」だけを求める案件
- 「通れば何でもいい」
- 「一回取れればいい」
- 「後のことは考えていない」
この考え方は、
建設業許可などの継続手続きでは
かなり危険です。
許可は、
- 取って終わり
ではなく - 維持して使うもの
だからです。
断る=冷たい、ではないと思っている
受任しないとき、
- 申し訳なさ
を感じることはあります。
ただ、
- 無理だと分かっている案件を受けて
- 結果的に困らせる
よりは、
- 今はやらない方がいい
- 別の選択肢がある
と正直に伝える方が、
長い目で見れば誠実だと思っています。
「今はやらない」という提案も仕事の一部
受任しない案件でも、
- いつなら可能か
- 何を整えればいいか
- 次に向けて何をすべきか
は、できるだけ伝えます。
何もせずに断る、
ということはほとんどありません。
行政書士は「止める役割」も持っている
実務をやっていると、
- 進める判断
より - 止める判断
の方が難しいことがあります。
でも、
そこで一度止められるかどうかが、
専門家としての価値だと思っています。
まとめ(結論)
- 相談=必ず受任、ではない
- グレーを押し切る案件は受けない
- 無理なスピードはリスクになる
- 「今はやらない」という判断も仕事の一部
行政書士の仕事は、
依頼を受けることだけではありません。
依頼者にとって
一番安全な選択肢は何か。
それを一緒に考えることも、
大事な役割だと思っています。
- 【行政書士という仕事・考え方①】行政書士は「書類屋」じゃないと思っている理由
- 【行政書士という仕事・考え方③】グレー案件と、どう向き合っているか
- 【行政書士という仕事・考え方④】行政と対立しないために、意識していること
- 【行政書士という仕事・考え方⑤】「できます」と言わない方がいい場面
- 【行政書士という仕事・考え方⑥】価格で勝負しないと決めた理由
- 【行政書士という仕事・考え方⑦】補正が出たときに、一番大事なこと
- 【行政書士という仕事・考え方⑧】依頼者に、本音で言いにくいこと

