建設業許可の相談を受けると、かなりの確率で最初に聞かれるのがこの質問です。
「年数、足りてますか?」
もちろん大事なポイントですし、無視はできません。
ただ、私が最初に確認するのは、年数そのものではありません。
今日はその話を、実務寄りで少しだけ書いてみます。
年数は「入口」だけど「答え」ではない
建設業許可では、
- 経営業務の管理責任者(いわゆる経管)
- 営業所技術者(専技)
どちらも「◯年以上」という年数要件が目立ちます。
そのため、
- 個人事業主を◯年やっていました
- 法人で◯年取締役でした
- 現場経験が◯年あります
という情報が、最初に出てくるのは自然です。
ただ、ここで一つ大きな落とし穴があります。
年数だけ見ても、可否はほぼ判断できない
という点です。
私が最初に見るのは「立場」と「中身」
年数の前に、必ず確認するのは次の点です。
- その期間、どんな立場だったのか
- 実際に何をしていたのか
たとえば、
- 代表取締役として5年
- 取締役として5年
- 現場責任者として10年
数字だけ見ると安心感がありますが、
許可実務では、ここからが本番です。
よくある「いけそうで危ない」パターン
実務でよく見るのが、こんなケースです。
- 役員にはなっているが、実態は現場専任
- 経営判断はすべて別の人が行っていた
- 名義上は個人事業主だが、実質は雇われに近い
- 請負契約・資金管理・対外折衝に関与していない
この場合、年数は足りていてもアウトになる可能性があります。
逆に、
- 年数が少し足りないように見える
- ただし、実態としては経営に深く関与している
というケースもあり、
こちらは「設計次第で道が残る」こともあります。
書類は「年数」より「説明力」
もう一つ重要なのが、どう説明するかです。
- どんな業務を行っていたのか
- どの立場で、どの判断に関わっていたのか
- 継続性・一貫性はあるか
これを、
- 履歴書
- 確認資料
- 説明文
で、行政が納得できる形に落とし込めるか。
ここが弱いと、
「年数はあるけど通らない」
という状況が起きます。
「とりあえず出してみましょう」が危ない理由
年数だけを見て、
「まあ、いけそうなので出してみましょう」
という進め方は、正直おすすめしません。
理由はシンプルで、
- 補正が長引く
- 行政の心証が悪くなる
- 後戻りしづらくなる
からです。
一度「この人は経管として弱い」という印象を持たれると、
同じ説明でも通りにくくなることがあります。
だから最初に「年数」だけは見ない
私が最初に確認するのは、
- 年数
ではなく - 立場 × 実態 × 説明可能性
です。
年数は、そのあとで十分です。
まとめ(結論)
- 年数は重要だが、それだけでは判断できない
- 「何年やったか」より「何をしていたか」
- 書類は事実+説明で初めて意味を持つ
- 早い段階で整理した方が、結果的に近道になる
建設業許可は、
制度よりも実務がモノを言う場面が意外と多いです。
もしこれから許可を考えている方がいれば、
年数を数える前に、一度立ち止まって整理してみることをおすすめします。
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(制度的な整理や具体的な手続きの流れについては、別サイトでまとめています。)

