【建設業経営⑤】経審を受ける会社と受けない会社の分岐点

行政書士

はじめに

建設業許可を取得したあと、よく聞かれる質問があります。

「うちは経審、受けた方がいいですか?」

経営事項審査(経審)は、公共工事の入札参加を前提とする制度です。
ですから形式的には、

  • 公共工事を目指すなら受ける
  • 目指さないなら受けない

というシンプルな話にも見えます。

しかし実務の現場で見ていると、

経審を受けるかどうかは、会社の“経営姿勢”を分ける分岐点

だと感じます。


1.「必要になったら考える」会社

経審を受けない会社の多くは、

  • 今は民間中心だから不要
  • 書類が大変そう
  • 評点が低そうだから様子を見る

という判断をします。

もちろん、それ自体が間違いとは言いません。

ただ、その判断の背景にあるのが

「今、困っていないからやらない」

という発想だけだとすると、少し注意が必要です。


2.経審は“経営の見える化”

経審では、

  • 財務状況
  • 技術職員数
  • 元請・下請の割合
  • 完成工事高

などが数値化されます。

つまり、

会社の体力や組織力が、客観的に点数になる

制度です。

経審を受ける会社は、自社の状況を数値で把握しようとします。
受けない会社は、そこを曖昧なままにしがちです。

この差は、じわじわ効いてきます。


3.“選択肢を持つ”という経営

公共工事に今すぐ参入しないとしても、

  • いざというときに入札に参加できる
  • 金融機関に対して説明材料がある
  • 組織整備の指標になる

という意味で、経審は“選択肢”を増やします。

受ける・受けないは自由です。

ただし、

選択肢を自ら閉じていないか

という視点は、経営として重要です。


4.経審を受ける会社の共通点

実務上、経審を継続して受けている会社には、共通点があります。

  • 技術者の配置を意識している
  • 財務内容を整えようとする
  • 工事実績の管理が丁寧
  • 将来の方向性を考えている

経審は目的というより、

組織を整える“装置”

のような役割を果たしています。


まとめ

経審は、単なる入札のための制度ではありません。

それは、

会社がどこを目指すのかを問う仕組み

でもあります。

受けるかどうかは経営判断です。

しかしその判断の裏に、

  • 将来像があるのか
  • 数値管理の意識があるのか
  • 組織を整えようとしているのか

そこが分岐点になります。

建設業許可を“取る”だけでなく、
“どう使うか”を考える会社は、

経審の扱い方にも、その姿勢が表れます。


次回は、

【建設業経営⑥】
許可を“コスト”と考える会社は伸びない

に進みます。