はじめに
建設業許可を取得したあと、よく聞かれる質問があります。
「うちは経審、受けた方がいいですか?」
経営事項審査(経審)は、公共工事の入札参加を前提とする制度です。
ですから形式的には、
- 公共工事を目指すなら受ける
- 目指さないなら受けない
というシンプルな話にも見えます。
しかし実務の現場で見ていると、
経審を受けるかどうかは、会社の“経営姿勢”を分ける分岐点
だと感じます。
1.「必要になったら考える」会社
経審を受けない会社の多くは、
- 今は民間中心だから不要
- 書類が大変そう
- 評点が低そうだから様子を見る
という判断をします。
もちろん、それ自体が間違いとは言いません。
ただ、その判断の背景にあるのが
「今、困っていないからやらない」
という発想だけだとすると、少し注意が必要です。
2.経審は“経営の見える化”
経審では、
- 財務状況
- 技術職員数
- 元請・下請の割合
- 完成工事高
などが数値化されます。
つまり、
会社の体力や組織力が、客観的に点数になる
制度です。
経審を受ける会社は、自社の状況を数値で把握しようとします。
受けない会社は、そこを曖昧なままにしがちです。
この差は、じわじわ効いてきます。
3.“選択肢を持つ”という経営
公共工事に今すぐ参入しないとしても、
- いざというときに入札に参加できる
- 金融機関に対して説明材料がある
- 組織整備の指標になる
という意味で、経審は“選択肢”を増やします。
受ける・受けないは自由です。
ただし、
選択肢を自ら閉じていないか
という視点は、経営として重要です。
4.経審を受ける会社の共通点
実務上、経審を継続して受けている会社には、共通点があります。
- 技術者の配置を意識している
- 財務内容を整えようとする
- 工事実績の管理が丁寧
- 将来の方向性を考えている
経審は目的というより、
組織を整える“装置”
のような役割を果たしています。
まとめ
経審は、単なる入札のための制度ではありません。
それは、
会社がどこを目指すのかを問う仕組み
でもあります。
受けるかどうかは経営判断です。
しかしその判断の裏に、
- 将来像があるのか
- 数値管理の意識があるのか
- 組織を整えようとしているのか
そこが分岐点になります。
建設業許可を“取る”だけでなく、
“どう使うか”を考える会社は、
経審の扱い方にも、その姿勢が表れます。
次回は、
【建設業経営⑥】
許可を“コスト”と考える会社は伸びない
に進みます。
