私たちの決断や行動はすべてギャンブルと言えます。
結婚、就職、洋服を買うのも新築住宅を建てるのもギャンブルです。
私たちは将来を見通すことがでないので、ひとつひとつの決断がどうしても投機的にならざるを得ません。
日常生活すべての決断、すべての行動がギャンブル性を持っているのです。
今回は、ギャンブルで勝つための心理学について解説したいと思います。
初心忘るべからず
「無知の知」哲学者ソクラテスは自分自身が無知であることを自覚し、魂を高めていくべきだと説きました。
自分は十分に経験を積んだ、よく分かっている!と物知り顔をすればするほど正しい判断ができなくなります。
「自分を物知りだと自認している人は、情報収集がいい加減で、間違った決定をしやすい傾向がある」という論文もあります。
本当にギャンブルが強い人は自分が無知であること、自分の弱いところをよく認識しています。
自分が無知であることを認識することによって、厳しくリスク評価を行い、現実的な判断ができるようになります。
甘い見通しや楽観的な予測などを控え、現実に即した予測ができるようになるのです。
また、自分が無知であるがゆえ、さらに知識を向上させようという意欲がわきます。
自分自身を成長させていくことができるのです。
勝った後にどうするかで次の勝負運が決まる
自分がどれくらい正しい判断ができるのか、を心理学では「決定精度」といいます。
10回勝負して自分は何回勝てるのか、などデータを取り、自分を客観的に知ることによって自分の決定精度を知ることができます。
自分の決定精度を知ることにより、自信過剰を押さえることができます。
- 自分が勝った勝負の記録をつける
- 素直に喜ぶ
- 他人に語り、褒めてもらう
- 自分で自分を祝う
- 利益の一部を銀行に預ける
自信過剰は✕ですが、自分の決定精度を理解しているのであれば、ギャンブルで勝った後は、大いに喜んで自信をつけて構いません。
速断
ナポレオンは、戦争で勝つために必要なこととして「速断」を挙げています。
「遅疑」、つまり疑い迷って、ためらったり、決心できず、ぐずぐずすることは最悪なものとみなしました。
速断した場合とじっくり考えて決断した場合では、速断したほうが予測精度が高いという心理学の実験結果もあります。
考えれば考えるほど、私たちは自分の判断に対する自信を深めます。
そして、考えれば考えるほど自分の判断は極端なものになりやすい、と述べています。
- 判断に自信を持ちすぎている
- 判断を変える柔軟性がない
「こんなに徹底的に考えつくしたんだから…」は、危険です。
反対の立場に立って自分を眺める
立場を変えると見え方が変わってきます。
株を買ったなら、売った人の立場になってみてください。パチンコを打っているならパチンコ屋の店長の立場になってみてください。
アツくなりすぎていませんか?
良い教師は、生徒の立場で考えることができる人だそうです。いつも上から目線で見下しているだけでは生徒の心はつかめません。
ギャンブルをするのであれば、自分とは全く反対の立場で物事を見てみてください。自分の知らなかった一面、弱さが見えてくると思います。
反対の立場に立つことで、自分の偏った考えを中立的にすることができます。
これを心理学では「修正効果」といいます。
「惜しい!」は、ぜんぜん惜しくない
ギャンブルをやっていると「もう少しで勝てたのに!」と思うことがあります。
惜しいと思うからこそギャンブルに興奮を覚えるのですが、本当に惜しいのでしょうか?
実は全く惜しくありません。負けるべくして負けているのです。
必要以上に悔しく思うとアツくなり、感情的になって、冷静な判断ができなくなります。
「惜しい!もう少しだった!」と思ったときほど、実はぜんぜん惜しくなかった、と自分を戒め、悪かったところを修正し、次の勝負に臨みましょう。
「もっともらしい」は危険
相場に「値ごろ感」という言葉があります。
ちょうど買い時に思えるような価格にまで株が落ちてきたので、雰囲気で買ってみたら続落して大損、というのはよくある話です。
1988年の宝くじで1等の当選番号が111111ということがありました。
149583のようなバラバラな数字が1等であれば、それらしく見え、111111という変な番号が当選するわけがない、と無意識で思ってしまっているのです。
しかし、確率は同じ。
ギャンブルにおいて、常識とかもっともらしさを判断の根拠にしてはいけません。
むしろ全く役に立たないと思っていた方がいいくらいです。
いったん下した決定を覆す柔軟さを持つこと
人は、コロコロと決定を変えてはいけないという無意識の思い込みを持っており、考え抜いていったん何かの決心をすると、その決定に縛られることになります。
その結果、新しい有力な情報が入ったとしても簡単に決定を覆すことができません。
この状態を心理学では「固着」といいます。
これを打ち破るには容易ではありません。固着状態ではギャンブルに勝つことはできません。
状況が変わったり、新しい有力な情報を得たときは、すぐに最初の決定を修正・変更できる柔軟さを持ちましょう。
負けたのは自分の責任
ギャンブルで負けるとプライドが傷つきます。その原因が自分であればなおさらです。自分をダメな奴と認めたくないのは人間の基本的な欲求です。
しかし、負けを自分の責任だと認めることができなければ、いつまでたっても失敗から学ぶことはできません。次の勝負でも同じ失敗を繰り返すことになってしまいます。
負けたことを自分の責任だと認識できれば、次の勝負で注意すべき点や、学ぶべき専門知識について考えるなど前向きな改善策を考え出すことができます。
ギャンブルで勝とうと思うのなら、失敗したときにこそ他人のせいにするのではなく自分を改善しようとする気持ちが絶対に必要です。
ギャンブラーの心得
徒然草で有名な吉田兼好が生きていた時代のギャンブルは、すごろくでした。
吉田兼好は、すごろくについて次のように考察しています。
勝とうと思って打ってはいけない。
負けないように打つべきである。
どの手なら早く負けないかを思案して、少しでも遅く負けるようにするのがよい。
「ギャンブラーのバイブル」を書いたM・Cフィクスは、ギャンブルで失敗しない10か条を挙げています。
- 手持ちより多くの額を賭けるな
- どのギャンブルでも見境なく手を出すな
- そのギャンブルを徹底的に勉強せよ
- どんな状況でも必ず勝てる道がある、冷静に判断せよ
- 配当がよいときは賭けるな
- 最も得意な一つのギャンブルに集中せよ
- 見知らぬものが相手の場合は決して賭けるな
- 全額を一度に張るな
- 損が続いたら直ちに休め
- 疲れているとき、気分の悪いとき、腹が立っているときは賭けるな
今回は、ギャンブルで勝つための心理学を紹介させていただきました。これを知ったからと言って、パチンコや株で大勝ちできるとは限りません。
しかし、私たちの決断や行動はすべてギャンブル性を持っています。
ギャンブルで勝つための心理学を理解することによって、日常生活や仕事における様々な場面で、より良い決断ができるようになるかもしれませんので、ぜひ応用してみてください。
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