ここが変だよ!住宅業界
住宅業界の最もおかしなところは、「自称」高耐震住宅、「自称」高気密高断熱住宅というのがまかり通ってしまっているところだと思います。
顧客もおかしいです。
何千万もする買い物なのに、性能について確認しようとせず、営業マンの印象とパッと見のデザインと価格だけで住宅会社を選んでいます。
熊本地震で何を学んだのか?
2016年4月の熊本地震では、耐震基準を満たしていたはずの築浅住宅が多数「全壊」しました。
そもそも、大地震で住宅が全壊することについて建築基準法レベルの耐震基準としては「想定内」であることをご存じでしたでしょうか?
建築基準法の耐震基準は大地震で家を壊さないためのものではありません。「圧死者を出すような壊れ方をしない=1階部分からつぶれるような壊れ方をしない」ための基準です。倒壊さえしなければ損壊は許容されているということです。
しかし、熊本地震では1階部分からつぶれた家も散見されました。
これは、なぜなのでしょうか?
悪法 4号特例
実は、一般的な木造住宅はこうした不備が見落とされやすい法制になっています。「4号特例」の存在です。
住宅業界で廃止すべきとの声がいたるところで上がっているにもかかわらず、いまだ残っている悪しき法律、「4号特例」と呼ばれる特例措置があります。
(例 日本弁護士連合会→4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書)
木造2階建てで高さや広さが標準的な住宅は、建築基準法の4号建築物といいます。
建築物を建築するときは、法令で定められた基準に適合している旨の「建築確認」を受けなければいけません。
ただ、4号建築物においては、建築確認にあたって構造計算書の提出が不要です。
さらに、壁量計算や構造金物配置図などの審査も免除されます。
- 構造計算書の提出不要
- 壁量計算や構造金物配置図の審査が免除
膨大な数の新築住宅の構造について、行政はいちいち確認してられないから、建築士にまかせるよ、という特例です。
この規定を隠れ蓑に、構造計算をしない、さらには既定の壁量や仕様すら満たしていないという住宅が数多く建てられているのです。
大手住宅会社は高いけど、地元の大工で建てるとめっちゃ安い、見た目は変わらないのに…なんで?と思ったことはないですか?
はっきり言います。ローコスト建売は、まったく構造の確認をしてません。地盤調査すらしていません。そりゃ価格差開きますよね。
もちろん、安くてしっかりと構造計算している住宅会社や工務店はあります。そういった住宅会社はちゃんとホームページで耐震3、長期優良住宅全棟認定などと書いてありますので、ぜひ確認してみてください。
大地震でも安心な家の見極め方
顧客自身で、あったかくて頑丈で長持ちする家かどうかを見極めるのは極めて難しいと思います。ですから、国の長持ちする住宅お墨付き制度である「長期優良住宅の認定」を受けてみてはいかがでしょうか?
営業マンがいい人そうだから、熱心にやってくれるからという理由だけで住宅会社を決めてしまったり、最終的に価格だけで判断してしまったりすると、結局後悔するのは自分です。
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のことで、耐震性や断熱性、耐久性などに明確な技術基準が設けられています。
長期優良住宅の「認定」を受けれるかどうかを物差しとして、住宅会社や工務店の実力を見極めてはいかがでしょうか。
- 劣化対策投球3+α
- 耐震等級2以上
- 維持管理対策等級3
- 断熱等性能等級4
劣化対策等級3+α

劣化対策等級3は、住宅性能表示制度の最高レベルです。
耐震等級2以上

ちなみに、耐震等級1は建築基準法レベル、とありますが、4号特例により耐震等級1にすら満たない住宅が平然と建てられているのが実態です。
維持管理対策等級3

維持管理対策等級3は、住宅性能表示制度の最高レベルです。
断熱等性能等級4

断熱等性能等級4は、住宅性能表示制度の最高レベルです。「自称」等級4が多いです。
家づくりで公開しないために
長期優良住宅認定申請費用は、長期優良住宅の技術審査の適合証があれば、福井県で6000円、東京都でも7200円です。
本当に高気密高断熱かつ高耐震の住宅で、ちゃんと構造計算をしている住宅会社・工務店であれば、1万円以内の追加費用で認定が受けれるはずです。
長期優良住宅の認定を受ければ、家の性能について国のお墨付きが得られるのです。
逆に、長期優良住宅の認定を取るのに多額の費用が掛かる住宅会社や工務店、認定を取るのを渋る住宅会社や工務店、そもそも認定を受けれない会社が建てる家は、低性能住宅と考えてよいです。
多くの方が、住宅ローンを組んで家を建てます。住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険に入ります。つまり、命を担保に家を建てるということです。
本当に、デザイン・価格・間取り・営業マンだけで家を選ぶんですか?
新築住宅を建てるのであれば、最低基準として「長期優良住宅の認定」を受けること。
「自称」高耐震住宅、「自称」高気密高断熱住宅に、くれぐれも騙されないように。
最後に困るのは、家を建てたあなた自身です。
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