建設リサイクル法にて、解体工事業を営もうとするものは都道府県知事の登録を受けなければならないと定められています。つまり解体工事業で独立しようと思ってもすぐにはできないということです。また、県外で解体工事を行う場合は解体工事を行う都道府県知事の登録が必要になります。有効期間は5年で、5年ごとに登録を繰り返す必要があります。
登録を受けずに工事をするとと30万円以下の罰金という厳しい罰則がありますので、知らなかったでは済まされません。
建設リサイクル法が制定される前までは建設業許可のない業者が乱暴な解体工事を行い、廃棄物を不法投棄していました。正しく解体工事を行い、廃棄物は適切に処理する。そのために解体工事業者を登録しておこうというわけです。
ということで今回は、解体工事業者登録のやり方、必要書類や提出先、注意点などについてのお話です。
解体工事業登録に必要な書類
必要書類は以下の通りです。
■解体工事業登録申請書
■誓約書
■技術管理者の実務経験証明書or資格証明書
■技術管理者の健康保険証写し(在籍証明できる書類)
■登録申請者の調書
■登記事項証明書(会社・法人)
解体工事業登録申請書の記載例は、都道府県のホームページに掲載されていますのでされを参考に記載すれば問題ありません。書式もダウンロードできます。
提出先・申請手数料・標準処理期間
福井県の場合、提出は営業所(本店・支店)の所在地を管轄する土木事務所となります。登録申請手数料は福井県の場合33,000円、標準処理期間は40日です。
注意点
解体工事業者登録には注意点があります。それは技術管理者が必要だという点です。
つまり、解体工事業者登録には技術管理者が必要で、その技術管理者は十分な実務経験があるか、もしくは有資格者である必要があるということです。
実務経験で申請する場合
実務経験は、当然、解体工事の実務経験になるわけですが、解体工事ができるのは登録を受けている業者だけなので、つまり8年間はどこかの解体業者に勤めていて経験を積んでいることが必要になります。そして、その業務経験の内容は詳細に記載する必要があります。
無許可無登録の建設業者で経験を積んでいたとしても、それは解体工事業者登録に必要な実務経験とはみなされませんので注意が必要です。
また、在籍証明として健康保険証の写しなどを添付する必要があります。
有資格者で申請する場合
法人の代表者や個人事業主が技術管理者を兼ねる場合は、資格の合格証書を添付すればよく、その場合、実務経験証明書は不要となります。社員が技術管理者の場合も同様に、在籍証明として健康保険証の写しなどを添付する必要があります。
解体工事業登録と建設業許可との違い
解体工事業を行うには、解体工事業者の登録以外に解体工事業で建設業許可を取るという方法もあります。しかしながら、建設業許可取得はハードルが高いため、まずは解体工事業の登録からという方がほとんどです。
解体工事業登録と建設業許可の違いは以下の通りです。
解体工事業登録 | 建設業許可 | |
営業可能な工事 | 500万円未満の解体工事 | 500万円以上の解体工事も可 |
施工可能な場所 | 登録を受けている 都道府県のみ | 全国 |
技術者 | 技術管理者 1名 | 営業所ごとに 専任技術者が必要 |
解体工事業登録の方がハードルが低い分、営業可能な工事にも天井があります。
解体工事業登録後の手続き
解体工事業登録の有効期限は5年なので、解体工事業を継続するためには更新が必要です。更新にかかる手数料は、福井県の場合26,000円となっています。また、登録してある内容に変更が生じた場合は変更届を出さなければなりません。届出を出さなければならない変更事項は以下の通りです。
商号、名称、住所の変更 | ■登記事項証明書(会社・法人) ■住民票(個人) |
営業所新設、廃止、住所変更 | ■登記事項証明書(会社・法人) ■住民票(個人) |
役員の変更 | ■登記事項証明書(会社・法人) ■誓約書(様式第二号) ■登録申請者の調書(様式第四号) |
法定代理人 | ■登記事項証明書(会社・法人) ■誓約書(様式第二号) ■住民票 |
技術管理者 | ■技術管理者の資格要件を確認する書類 ※実務経験証明書・資格証の写し等 ■技術管理者の在籍を確認する書類 ※技術管理者の健康保険証の写し等 |
解体工事業登録は、解体工事業を営もうとする者にとって必要な手続きです。建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可にも拘わってくる重要な手続きですので、忘れずに申請ください。