土地の名義、先祖代々変更していないことに気づいたときにやるべきこと

不動産

相続した土地の名義が
先祖代々変更されていなくて
放置されている…

このような不動産は数多く存在します。

長年にわたり相続登記されないまま
放置されてきた土地や建物の
名義変更には多大な手間がかかります。

曾祖父や曾祖母の台の名義のままだと
面倒になって手続きを途中で
挫折してしまう人も珍しくありません。

ということで今回は、
先祖代々名義変更されていない土地を
相続したとき場合に

どうすれば良いのか、
何から始めるべきか
ということについて
説明していきたいと思います。

相続人を確定する

最初にしなければならないのは
相続人の確定です。

相続人の確定には戸籍が必要です。

まず土地の名義人である
ご先祖様の出生から死亡までの
戸籍謄本を集めます。

本籍地が何度も変わっていると
かなり手間がかかります。

また、曾祖父名義のままの場合、
相続権を承継した人たちも
亡くなっていることがあります。

その場合は死亡した相続権承継者全員の
戸籍を取得する必要があります。

曾祖父に始まり、
祖父母の代の兄弟姉妹全員、

父母の代の兄弟姉妹のうち
亡くなった人たちの
出生から死亡までの戸籍と

存命中の相続権者の戸籍を
用意しなければならず、
鼠算式に必要書類が増えていきます。

戸籍の収集で2ヶ月ほどかかると
考えておいた方がよいでしょう。

相続人に連絡する

戸籍で相続人が確認できたら、
権利を有する法定相続人全員に
遺産分割協議を行う旨の連絡をします。

相続登記をするために遺産分割協議書
という書類が必要だからです。

相続人同士が離れた所に住んでいれば
集まるのも一苦労だし、一人でも
非協力的な親族がいれば対応に
時間を奪われてしまいます。

膨大な人数が権利を持ち、
遺産分割協議がまとまらない、

戸籍を集めたはいいが、
次のステップに進めず途方に暮れて
しまうというような方も多いです。

遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作る

遠方に住んでいて疎遠になっている
相続人や不仲な相続人などには
手紙を送ってこちらの意思を伝えたり、

相続放棄の意思を確認したりする
必要があります。

確実に相手に伝える手段として、
内容証明郵便を利用するのも有効です。

遺産分割協議の日程を伝える手紙の文例

遺産分割協議では、相続人全員の
合意を得てだれが相続するかを確定し、
相続人全員が署名・実印押印して
遺産分割協議書を作ります。

相続人全員の印鑑証明書も必要になります。

相続登記をする

遺産分割協議書が準備できれば、
その他の必要書類を準備した上で
相続登記を申請します。

登記には登録免許税として
固定資産税評価額の0.4%の
費用が掛かります。

相続人が少ない場合は
自分で手続きをすることもできますが、

曾祖父の代から名義変更されず
放置している土地であれば、権利関係が
複雑になっているでしょうから
司法書士に任せてもいいかもれません。

実費と報酬で30-50万円ほどかかります。

尚、原則として親が亡くなってから
3年以内に相続登記の手続きを
終える必要があります。

罰則について

親が亡くなったら相続人や
相続財産を確認して、遺産をどのように
分割するのかを決めたうえで、

必要に応じて相続税の納付などの
手続きを期限内に行わなければなりません。

また、2024年4月以降は不動産の
相続登記が義務化されています。

不動産の相続を知った日から
3年以内に相続登記をしなければならず、
義務に違反したら10万円以下の過料が
課される可能性があります。

死後の手続き(時系列まとめ)

揉めたときは、相続人申告登記

たとえば、相続登記が先祖代々
なされていなかったため、
相続人が膨大な数になってしまって、
相続人の調査や連絡をつけることに
時間がかかる場合や、

遺産分割協議がまとまらず、
誰が不動産を相続するかを
決められない場合など

相続登記をする意思があっても
やむを得ない理由で手続きを
進められない場合、

相続人申告登記をすることで
相続人としての義務を果たしたものと
みなして過料を免除する制度があります。

相続人全員の合意が必要な
相続登記とは異なり、
各相続人が単独で申請でき、
申請書類も少なくて済み、
ネット経由での申請も可能です。

ただし、相続人申告登記はあくまで
暫定的な措置となります。

相続人申告登記後に
遺産分割協議がまとまれば、
その日から年以内にあらためて
相続登記を申請する必要があります。

猶予期間が与えられたからと言って
遺産分割協議を先延ばしにするのは
おすすめできません。

相続人申告登記は、相続人であることが表示されているだけで、所有権がその相続人にあるというわけではないため、土地の売却など不動産を処分できるわけではないからです。

手続きせず10万円の過料を払って放置?

相続する土地の評価額が高価で
登録免許税が高額になる場合や、
相続人が複数いて放棄してもらうための
費用が高額になる場合などは

10万円の過料を払って放置しておく
という考えの方もいるかもしれません。

ただ、名義変更の制度自体を
理解していなかったご先祖様はまだしも、

自分が分かっていながら
ただ固定資産税を払い続けなければ
ならない負の遺産を

子や孫の代に引き継ぐというのは
いかがなものかと個人的には思います。

できる限り、相続登記の準備を
進めてみてはいかがでしょうか。