誰も住まない、誰にも売れない、
税金だけ払い続けなければいけない実家。
いらない実家を相続して
そのまま塩漬け負債にして
しまうケースも多いようです。
2024年の空き家率は約14%、
約900万戸の空き家があり、
そのうちの一部は放置されたままの
状態になっています。
放置して倒壊の危険があるような
状態になった場合は、
行政により特定空家に
指定されることもあります。

特定空き家の固定資産税は
通常の約6倍に跳ね上がりますし、
勧告に従わなければ強制執行で
建物が取り壊され、
その費用を負担しなければ
ならなくなることもあります。
このような状態になると
不動産屋に売却を依頼しても
受け付けてもらえず、
固定資産税を払い続けるほか
なくなってしまいます。
そこで今回は、いらない実家・
相続した実家を塩漬け負債化
させないためにはどうすればよいか、
今のうちにやっておくべきことを
ご紹介したいと思います。
親が生きているうちに売却する
非情に思うかもしれませんが、
最もシンプルな解決方法です。
自宅の売却であれば
居住用財産の特別控除により
3000万円まで税額控除が受けれます。
その現金を生前贈与したり、
別の賃貸不動産を購入することにより
相続税対策をすることもできます。
賃貸不動産であれば、
不動産評価額を4割ほどに
下げられるためです。
親が生きているうちに子に贈与する
相続時精算課税制度を使えば
2500万円までの財産贈与で
贈与税が非課税となるため、
生前に子に贈与してしまう
という方法もあります。
評価額が2500万円以内であり、
子供に早めに家を譲りたいのであれば
おすすめです。
実家を子どもに相続させる場合…
遺言書を作成しておく
親の死後、子に相続すさせる場合は
揉めることも考えて、必ず
遺言書を作成しておきましょう。
揉めたままだと10か月以内の
相続税申告期限に間に合わなくなり、
それを避けるために結論保留のまま
とりあえずの兄弟の共有名義に
したりするケースが多いのですが、
それは実質的な解決にはなっておらず、
結局、実家の塩漬け負債化が確定します。
リフォームしておく

子どもが実家を相続した上で
売却するのであれば急ぎましょう。
親の死後3年までなら、
空き家譲渡の特例を使えば
3000万円まで譲渡所得が
非課税となります。
ただしこの特例は、
昭和56年5月31日までに建てられた家屋で、
かつ耐震リフォームを行っている
必要があります。
親が生きているうちに親のお金で
リフォームを済ませておけば、
相続財産を減らせるため、
相続税も抑えることができます。
相続後、解体。更地にして売る
もし相続後に解体し、
更地にして売却を考えているのであれば、
買い手がついてからにしましょう。
不動産屋に相談すれば、
解体更地渡しを条件で
売却の仲介をしてもらえます。
40坪の木造住宅を解体するのに
150~200万円かかるのが一般的で、
解体後には固定資産税が
約6倍に上がってしまいます。
近隣に値引きして、
引き取ってもらうのが
現実的かもしれません。
相続放棄
相続放棄は最後の奥の手です。
相続放棄を選べば
プラスの財産もすべて放棄
しなければならないのが
最大のネックとなります。
不動産を相続放棄する場合は、
親が生きているうちに
金目のものだけ生前贈与で
動かしておいて、
親がなくなるときには
不要な不動産だけにして
身内全員の了解を得られるように
準備をしておきましょう。
尚、相続人が全員相続放棄をした場合は
相続財産を管理し国庫に帰属させる
相続財産管理人を選任する必要があり、
最低100万円程度の費用が掛かります。
形あるものには必ず終わりがきます。
生まれ育った愛着のある実家も
例外ではありません。
実家を塩漬け負債にしないために
今のうちからできることを
やっておきましょう。