個人事業主+バイトの人の確定申告

行政書士

思い切って開業したのはいいけれど、事業が軌道に乗るには少し時間がかかるから、その間はバイトしておこう!という人、多いんじゃないでしょうか?

また、そもそも確定申告や年末調整が良く分かっていないという人もいると思います。

今回は、個人事業主なんだけどバイトもしているという人の確定申告について、とりあえず何を理解して、何をすればいいのかについて説明したいと思います。

税金のことですから詳細は税務署等で確認が必要なのですが、最低限このくらいは分かっておくといいよ、という超初歩的な内容です。

専門用語はできるだけ避けて、全体像が理解できるようにざっくりと分かりやすく説明します。

確定申告と年末調整

そもそも確定申告とか年末調整って言葉を聞くと、反射的に難しいと思ってしまっていないでしょうか?

でも考え方はぜんぜん難しくなくて、確定申告とは、自分の所得を自分で確定させて、自分で国に所得税の申告をすることです。

所得税は個人が所得を確定して国に申告するのが原則です。

これを申告納税方式といいます。

所得税とは、収入に対してかかってくる税金で、収入が多い人はいっぱい税金を払う必要があります。

収入がある人は全員、毎年1年間の収入を確定させて、国に申告しないといけないんですね。

サラリーマンは確定申告をしなくてよい

でも、サラリーマンの場合はしなくてもいいという例外があります。

確定申告する方が例外っぽく感じるかもしれませんが、確定申告しないほうが例外です。

サラリーマンの場合は、所得税が給与から天引きされる源泉徴収という方法で所得税を払っています。

これは簡単に言うと、「あなたの今年の見込み年収は〇〇〇万円だから、所得税はだいたい〇〇万円。これを12か月払いとして給与から引いとくね。」という仕組みです。

そして年末調整は、「もし源泉徴収で所得税を払いすぎになってしまったり、逆に足りなかったりしたときは、年末に調整するよ。」という仕組みです。

収入の源泉である給与から所得税をあらかじめ見込み額で徴収をすることによって、国が税金の取りっぱぐれを防ぐという意味があります。

※サラリーマンでも住宅ローン控除を受ける場合などは確定申告が必要となります。

所得税を節約するために課税所得を計算する

所得税を計算するためには課税所得を計算しないといけません。

課税所得とは所得税の税率をかける所得のことで、イメージとしては収入から経費を引いた実際の手取額といったところです

総収入から必要経費を引き、そこからさらに配偶者控除や扶養控除して求められる額です。

経費は、所得からマイナスすることができます。

収入が多くても経費がいっぱいかかっているのであれば、実際の手取りは少ないから所得税は安くなります。

課税所得が195万円未満であれば所得税は5%、課税所得が330万円未満であれば10%で済みます。

ここを狙うわけですね。

みんな、課税所得を195万円未満にしたり、330万円未満にしたりするためにガソリン代や携帯代を経費にしているということです。

開業したけどバイトもしている人の確定申告

たとえば、こんな人も確定申告が必要です。

■1-6月までは不動産屋で正社員 240,000円/月
■3月に個人事業主として230,000円の収入がある
■8-12月に事業主として180,000円/月の収入がある
■8-12月にバイトで90,000円/月の収入がある

まず、不動産屋とバイトの収入は給与所得となります。

不動産屋とバイト先から源泉徴収票をもらってください。

退職していたとしてももらえますので、やめた会社に連絡してください。

バイトやパートであっても源泉徴収票はもらえます。

確定申告の際、源泉徴収票を見ながら入力するので、紛失しないようにしましょう。

個人事業主としての収入は、事業所得となります。

売上-原価が事業所得です。

仕入れにかかった金額(原価)は、しっかりと領収書やレシートをとっておきましょう。

カードでも支払いであれば、支払い履歴のスクショでも構いません。

ガソリン代や携帯代などは、所得から差し引かれる金額(=経費)として計上できます。

個人事業主になったら、支払ったお金はすべて領収書やレシートを取っておくクセをつけておくと良いです。

それと国民年金や国民健康保険は、支払った金額が所得から控除されますので、メモしておくようにしてください。

尚、レシートや領収書は、確定申告のときに提出するわけではありません。

ですから、極端な話、確定申告時にでたらめな数字を書いたとしてもすぐにバレるわけではありません。

しかし、個人事業主は、7-8年に1回、税務調査が入ります。

そのときに、仕入れ原価やガソリン代など経費のレシートやクレジットカードの履歴の提出を求められ、もしでたらめな数字を書いていれば、ここでバレることになります。

レシートや領収書は、しっかりと保管しておくのはもちろんのこと、確定申告時にでたらめな数字を書くのはNGです。

生活費と収入の銀行口座は分けた方が良いのか?

個人事業主であれば、生活費の銀行口座、給与(バイト・パート用)の銀行口座、事業用の銀行口座は分けたほうが良いです。

生活費の口座と事業用の口座がごちゃまぜになっていると、後で通帳を見てもお金を何に使ったか分からなくなるからです。

個人事業主は確定申告のために帳簿をつける必要があります。

帳簿は、日々の取引に伴うお金の動きを記録するものです。

銀行口座はちゃんと分けて、帳簿をつけるようにしてください。

すごくたいへんです。

まずは、いつ、だれに、何のために、いくら支払ったかをレシートの裏に書いておき、月に1回、ノートやエクセルにまとめるよう習慣化しましょう。

まずはここからです。

青色申告をしている場合、貸借対照表が無いと最大65万円の所得控除のメリットを受けることができません。

これを個人事業主が作成するには簿記の知識が必要です。

会計ソフトを使えば簡単に貸借対照表の作成ができますが、簿記の基礎知識はつけておいた方が良いです。

貸借対照表が無い場合、所得控除は10万円となります。

課税所得によっては、所得税が倍ほど違ってくることもありますので勉強するにこしたことはありません。

確定申告書の作成はスマホでできる

確定申告自体は、スマホで行うことができます。必要事項を入力すればそれでOK。

分からない場合は、税務署に行けばびっくりするほど親切に教えてくれますので安心してください。

個人事業主にとって、確定申告は避けては通れないポイントです。

最低限必要な知識は身に着けておきましょう。

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